慶應義塾大学理工学部電子工学科  神成研究室

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HOME > 研究テーマ > フェムト秒光波制御を用いたイメージング技術の開発

2次元時空間レンズを用いた2光子励起蛍光顕微鏡とバイオイメージング応用

研究ミッション

下村博士がノーベル賞を受賞した緑色蛍光タンパク質GFPに代表される各種蛍光タンパク質を指標にしたバイオイメージングは今や不可欠なバイオ工学のツールとなっている。フェムト秒レーザーを用いた2光子励起蛍光顕微鏡は,レーザー光の焦点近傍でのみ非線形な2光子励起を可能とするので,とくに生体の深さ方向の解像度を向上できる。多彩な蛍光タンパク質は生体組織の各部位を修飾して配位され,一般には分光計測によって識別し計測される。一方,蛍光共鳴エネルギー移乗(FRET)を用いた蛍光顕微計測では,注目する2種類の蛋白質にそれぞれ異なる蛍光蛋白質(GFPを改良したCFP、YFP等)でタグを付けておくことで,それらが相互作用する(結合する)ことによりFRETが観測できるので,ダイナミックなタンパク質間の相互作用を観測できる。この場合,複数の蛍光タンパク質を選択的に励起することが要求される。  我々は,フェムト秒レーザーを波形整形することで,2光子励起スペクトルを整形し選択的な蛍光タンパク質の励起が可能であることを明らかにした。

FRETの原理と選択的蛍光タンパク質励起によるFRET観察



2次元時空間レンズのセットアップ


時空間レンズでは,広帯域なフェムト秒レーザー光を一度回折格子を用いて波長毎に角度分散させることで,再びすべての波長が重なるまでは光は長パルスとして試料中を伝播するので光強度は低く抑えることが可能であり,2光子励起のような非線形効果は起きにくくなる。そして,再び全波長が重なる時間焦点においてのみ超短パルスが再現され2光子励起が効率よく誘起される。この時空間レンズを用いることで,SNに優れた蛍光イメージングが可能になる。我々は,この時空間レンズにおいて周波数成分を2次元に分散させる2次元時空間レンズを提案し,1次元よりも優れた深さ方向分解能を有することを実証している。また,新しい波長分散素子であるVIPAを用いた1次元時空間レンズは,選択的な蛍光タンパク質励起も実現できることから,より機能的で高性能なバイオイメージング技術をする。

研究プロジェクト

  • 2次元時空間レンズを用いたワイドイメージング蛍光顕微鏡開発
  • 1次元VIPA時空間レンズを用いた選択的蛍光タンパク質励起手法の実証

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